関ジャニ∞「喝采」


 こうして関ジャニ∞の作品の感想を書くのは、随分久しぶりな気がします。正直な話、3年前の夏から時が止まっているような感覚があったのですが、つい最近、ほんとうに数日前になってようやく、その時計の電池を入れ替えることが出来たみたいです。ちょっと時差ボケでピンボケしている文章になっていたら申し訳ないですが、それもそれでいいかな、と思い、思い切ってアップすることにしました。


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なりたい自分に注げよ 愛を

なれない自分も抱きしめたいよ 

 私はこの曲の主題を「自分自身への愛」だととらえています。最近つくづく思うのですが、自分を認めたり、褒めたり、自分を肯定することって難しいですよね。何かに「なれない」、駄目な自分なんて尚更受け入れがたいものです。だからこそ、良いところも悪いところも含めて自分を愛していきたい、という意思表示を歌える関ジャニ∞はやっぱり強くて格好いい。あの別れの日々の中で、……もしかするとそのもっと前から、「なりたかったけどなれなかった関ジャニ∞」も存在していたのではないかな、とつい想像してしまうのですが、それすらもひっくるめて「関ジャニ∞でよかった」という答えを出した5人が歌うからこそ、このメッセージがより響いてくるのだろうな、と思います。
 また、この熱のある言葉を、夏の風のような爽やかなサウンドに乗せて届けていることに、関ジャニ∞の進化を感じました。これまでのバンド曲は、燃え滾る情熱に周りを巻き込みながら歩を進めていく能動的な印象があって、私自身も、そのパワーにとても助けられていました。そこから時を経た今の曲を聴くと、寄り添ったり、背中を押したり、少し距離のある立ち位置から見守ってくれるような場面が増えたように感じます。でも、立ち止まる誰かの背中を押すようにそっと吹かせてくれる風の優しさも、誰かの救いになるんですよね。現に、救われている人間がここにいます。


 「青」という色が印象的なMVも良いです。「青い」には色々な意味があると思うのですが、ここまで感傷的になってしまうのは、その舞台が「学校」だからでしょうか。「学校」って色々な夢が描かれる場所でもあるし、夢の残骸が沢山眠る場所でもある、不思議な空間だと思うんです。そして何より私自身の「なりたい自分」を置いてきた場所でもあるので、つい視界がぼやけてしまうのですが……。そんな場所から一歩踏み出す直前の、大人と子どもの間―「18歳」というのも、このシングルのテーマの一つなのかな、と想像しています。

 

拍手喝采の未来であれ

 初めにも少し書きましたが、この「喝采」という言葉の中には、誰かからの賞賛は勿論、「自分からの」賞賛という意味も含まれていると解釈しています。自分自身が「よくやった」と思えるような未来を迎えるのは一筋縄ではいかないかもしれないけれど、またここからスタートを切ろう。「喝采」は、そんな未来へ一歩踏み出す勇気を貰える曲です。

 どうもぼんやりしがちな私は、あの時も今も、先を行く彼らの背中にぼーっと見惚れていることの方が多いような気がします。でも、そんな私に向かって飛んでくるこのボールを意識する瞬間に、改めて思うんです。

君だってわかってるはずなんだ

 これは関ジャニ∞の曲でもあり、私自身の曲でもあるのだな、と。そして、その実感が、何より嬉しいのだな、とも。

 ……いやあ、一生敵わないですね。