しゅみのログ(2021.4~5)


 最近、帰り道にある交番から、ふわっと蚊取り線香の匂いがしてくることに気付きました。私はどうしても時間の流れに鈍感なので、「あれ、もうそんな季節だっけ」と何かに気付かされる瞬間が結構あります。ふと、「中学の頃、数学の先生が蓄えていたもしゃもしゃの髭を綺麗に剃ってくるのを見て夏の訪れを感じてたな」とか、とても懐かしいことを思い出しました。思い出したからか、長らく伸ばしっぱなしにしていた髪をようやく切りました。以上、近頃のどうでもいい話でした。
 

 本題へ。元々は3ヶ月に1回くらい書こうかな程度に考えていたのですが、いったんこのタイミングで整理しておきたかったので更新します。
 

 

 


 

お笑い

観ている中で自分の好みも何となく把握できたので、4月以降は絞れる……はず……。
 4月の私はこう言っていたらしいですが、絞るどころか増えました。数えてみたところ、4月が28本、5月が43本。こうなると、相変わらずまだ劇場に行くことが出来ていないのが寂しくなってきました。それにしても、5月に何があったんですかね……。思い当たる節はいくつかあるのですが、5月中はアーカイブの期限が1週間に延びていたので、視聴する時間が確保しやすかったことも理由だと思います。出演した芸人さんの感想や劇場のSNSを見て「あ、これも観てみよう~」とかちかちクリックしていったら、ここまで増えました。でも楽しかったからOKです。  
カベポスター
 5月に観るライブの本数が増えた大きな理由がもう一つあります。「カベポスターの出るライブはなるべく観ておきたいな」と思うようになったからです。
 好きになったきっかけは「夢に出てきたから」。……というのは半分嘘で半分本当なんですが、4月に観た「C2P2」でのネタが強く印象に残ったのが決め手でした。M-1の敗者復活やお正月のネタ番組TVerで観た大阪の番組だったかな?)で観て、ずっと気にはなっていたものの、その時はそこまでアンテナを張っていなかったので1月の単独ライブを見逃してしまっていたんですよね。それからずるずると「気になるなあ」と思った状態が続いていたのですが、そんな中で観たそのネタがめちゃくちゃ良くて。程よくこんがらがる独特の感じがとても好きで、そこからGW期間中のライブを観たり、インタビュー記事の載っている雑誌を読んだりしているうちにどんどん好きになっていました。GW期間中に行われたライブが「豪華スターターキット」的なラインナップだったので、あっという間に気が付いたらこんなところまで。いやあ……時間があるって恐ろしいですね……。
 魅力的に感じているところは色々あるのですが、声と喋り方のバランスの良さが特に好きです。漫才だと、ボケの永見さんが独自の理論をふわりふわりと展開して、ツッコミの浜田さんがそれに正論のようなツッコミを入れていくスタイルのネタが多いのですが、この立場の違いがとても分かりやすいバランスだなという印象があります。テキストで読んでも面白いものが、2人の声を通すことでより魅力的になっている感じがするんですよね。あとは、独特の距離感とか、コーナーだと浜田さんの方が変化球投げがちなところとか、お二人とも読みやすくて素敵な文章を書くところとか、こまめにURL付きでライブの告知をしてくださるところとか、下手に自分の持っているペンの先を人に向けるようなことをしないところとか、他にも色々沢山。正直な話、どうしてここまでお二人に惹かれるのかを考えると、何故か自分の中にある暗い水の底に潜っていってしまうので、いまだに上手く言葉におこせていないところはあります。
 これは想像まじりではあるのですが、無観客でのライブ開催が続く中でも色々と試行錯誤していたのをみて、2人とも「伝わること」の喜びを大切にしていて、「伝えること」の難しさに向き合っているんだな、と感じたのを覚えています。それぞれ得意な分野もアプローチの仕方も違うし、微妙に噛み合わないところもあるけれど、根幹にある動機はそこまで別ではないような気がするというか。だからこそ補いあえる何かがあるのかな、と解釈しています。……ここまでくると想像というか、妄想の域ですね。ただ、その伝えることへの姿勢は本当に大切だし、その誠実さは武器だと感じています。綺麗事だけでは続けられない世界とは重々承知しながら、伝えることだけは諦めないでほしいというこちらの勝手な願望が少しと、その姿勢が崩れることはないだろうなという信頼が9割。受けとる側として、こちらも誠実でありたいなと強く思います。
 これから先、どんなネタをするか、どんな姿になっていくのかはまだ想像がつかない部分ではありますが、その過程を陰ながら拝見し、応援させていただけたら嬉しいです。
 
ライブ 
 タイトルを全部書くと長くなってしまうので、今回は印象に残ったライブをいくつか挙げます。
 
▽4月

09(金) オズワルド単独ライブ「あたらしいとうきょう」 (配信/ルミネtheよしもと)
[出演:オズワルド/素敵じゃないか/カナメストーン/伊藤沙莉]
 漫才の中で展開される論理は傍から見れば破綻しているのに、「実は正しいのでは?」とまで思ってしまうような説得力もあり、真面目に聞けば聞くほどどんどん空間が歪んでいくような感覚があって面白かったです。「お葬式」のコントも好きでした。

 
13(火) C2P2 (配信/よしもと漫才劇場)
[出演:ヒューマン中村/Dr.ハインリッヒ/kento fukaya/カベポスター]
 6月のC2P2を観て改めて思ったのですが、このユニットの空気感がとても好きです。穏やかさの中に底知れない何かがある感じ。カベポスターの1本目、ヒューマン中村さんの2本目が特に面白かったです。
 

18(日) 粗品単独ライブ「怪獣少女は火を吹かない」 (配信/よしもと有楽町シアター)
[出演:粗品]
 線をギリギリ越えてしまう無神経さとちりばめられた悪意、らしさがとても出ていたライブでした。ネタのバリエーションが豊富で良かった。歌ネタの「僕の父ちゃん」は曲が進むにつれてお客さんがどんどん引いていくのが画面越しでも分かって、ある意味貴重な体験をしました。

 
24(土) ネタ書いてる奴vsネタ書いてない奴 (配信/よしもと漫才劇場)
[出演:(MC)令和喜多みな実河野//ジュリエッタ/ロングコートダディ/ニッポンの社長/マユリカ/からし蓮根/コウテイ/カベポスター/フースーヤ//(電話出演)ヒューマン中村/高見/オール巨人]
 コンビのネタ作り担当と、特にネタは書いていない側の2チームに分かれて競うチーム対抗の大喜利対決。ルール内とはいえ大師匠に電話をかけて大喜利を答えてもらう人、頭の上の風船を割るために鈍器をつくって人ごと破壊しようとする人、綱引きの判定に納得がいかずにMCを恫喝する人、と色んな無茶苦茶さの詰まったライブでした。たまにこういう無秩序がやけにツボに入るときありますよね。
 
 
▽5月
03(月) マンゲキ大喜利強化合宿 (配信/森ノ宮よしもと漫才劇場)
[出演:(MC)令和喜多みな実河野//デルマパンゲ広木/ツートライブたかのり/ロングコートダディ兎/マユリカ中谷/カベポスター浜田/プードル山下/ファンファーレと熱狂こうちゃん//(教官)令和喜多みな実野村/カベポスター永見]
 普段あまり大喜利をしない人による大喜利ライブ。配信を観るようになってからは毎月楽しみにしているライブですが、この回は特に面白かったです。シンプルに大喜利が強いゲスト組と、回を重ねるごとに壊れていくレギュラー陣との対比も良かった。
 
06(木) 野村尚平に、まわりが聞きたいこと。 (配信)
[出演:野村尚平(令和喜多みな実)]
 芸人さんや作家さん、親交のあるバンドマンの方からの質問に対して、ひとつずつ答えていく形式のトークライブ。見取り図のリリーさんが質問を寄せられているということで見逃し配信で観たのですが、とても良かった。野村さんの言葉一つ一つには、何かを生み出し続けているからこその熱と、ほのかな諦念があって、それがとても魅力的だなと感じました。
 
08(土) コンビ愛決定戦! (配信/よしもと漫才劇場)
[出演:(MC)祇園//Dr.ハインリッヒ/ロングコートダディ/カベポスター]
 終始和やかな感じで進んでいたので、観ていてとても心地よかったです。MCの祇園のお二人のエピソードトークの掘り下げ方も良かったです。後半は、ほぼほぼ大喜利ライブになっていたのですがそれもまた面白かった。3組とも絶妙なコンビネーションですね。カベポスターが最下位の罰ゲームでお互いにアドリブで手紙を読んだのですが、一文読むごとに英文を挟んでいくという浜田さんのボケ方、脈絡が無さすぎてめちゃめちゃ笑いました。
 
11(火) 今日浜田を再起不能にします (配信)
[出演:カベポスター浜田/フースーヤ谷口]
 タイトルを見てどんなむちゃくちゃなことをするんだ……と身構えていましたが、肩叩きゲームをしてエアチャーハンをし、席替えして楽しくトークして終わりました。テーマを選ぶくじ引きの中には「ギャグを考える」みたいな体力をつかう企画も入っていたらしいですが、席替えを引きまくる浜田さんの運。お二人が普段仲良いのもあって、適度にほんわかとしていてとても面白かったです。
 
17(月) (配信/よしもと漫才劇場)
[出演:シカゴ実業/ロングコートダディ/ニッポンの社長/ビスケットブラザーズ/マユリカ/なにわスワンキーズ/20世紀/カベポスター/kento fukaya/ガオ~ちゃん//(ゲスト)ダブルヒガシ/滝音]
 コーナーの「おもしろフェイスグランプリ」が特に面白かったです。永見さんが考える絶妙なお題と、それを的確に表す浜田さんの表現力。色々衣装も選べるのに、私服一本で戦って優勝したのが面白すぎました。
 
22(土) 囲碁将棋緊急ライブ 早朝60分漫才 inなんばグランド花月 (配信/なんばグランド花月)
[出演:囲碁将棋]
 朝5時から無観客で行われた配信ライブ。企画のトリッキーさが気になって観たのですが、とにかくネタが全部面白かったです。「料理」「車プロファイリング」のネタ好きです。
 
22(土) ボツネタを見て、みんなで復活させるライブ (配信/よしもと漫才劇場)
[出演:(MC)藤崎マーケットトキ//(コメント)Dr.ハインリッヒ/ロングコートダディ堂前//ニッポンの社長/滝音/カベポスター/きんめ鯛]
 4組のボツネタを観て、改善できそうなポイントを探していくライブ。色々な事情でボツになったネタとはいえ、元々のネタがとても面白かったので埋蔵させておくのは勿体ないなあと思ってしまいました。ネタの内容について掘り下げていくやりとりは貴重で、とても興味深かったです。発酵したネタもどこかで観たい。
 
22(土) マンゲキ大喜利自習室 (配信/よしもと漫才劇場
[出演:(MC)令和喜多みな実河野//デルマパンゲ広木/ツートライブたかのり/ロングコートダディ兎/マユリカ中谷/カベポスター浜田/エルフはる]
 「マンゲキ大喜利強化合宿」のスピンオフ企画。あくまで「自習」なので教官の出演はなかったのですが、企画のなかで登場した永見さんの答えの存在感が大きくて、やっぱり凄いなあと思いながら観ました。「大喜利のお題を考えましょう」で出てきた案がツボだったので、6月の強化合宿も楽しみです。
 
 ネタ単体だと、「マイネタバトル」で観たチューリップフィクサー(シゲカズですさんと白桃ピーチよぴぴさんのユニット)、「ハイキック寄席」「ユニットライブ『A』」のロングコートダディも面白かった。
 
 

音楽

 GWは時間もあったので、cinema staffの作品を「document」から順に聴いたりしていました。改めて聴くと「この表現ってこういうことだったんだ」と気付くことも多くて楽しいですね。
 あとは、遅ればせながらserial TV dramaのインディーズ時代の音源がサブスク解禁されていることに気付き、めちゃくちゃ喜んでいるところです。やったー!!一番好きなのは「シリアルキラー」。改めて聴いても静と動のバランスが絶妙で、厚みのあるコーラスワークもとても良いです。

 新譜はアルバムとシングルを1作品ずつ買いました。

GRAPEVINE「新しい果実」(Album)
 これまでの作品はまだ追えていないのですが、新譜が出るということで初めてアルバムを買いました。「目覚ましはいつも鳴りやまない」、「さみだれ」 が好きです。特典のライブ音源も聴きごたえがあって良かったです。「また始めるために」と「1977」が特に好き。
 
日向坂46「君しか勝たん」(Single)
 個人的に前作(アルバム)のリード曲が好みとちょっと違う感じだったのもあり、タイトルだけ発表されたときは「うむ……」となっていたのですが、MVを観て考えを改めました。少し懐かしさのあるサウンドと、画面越しにあふれる多幸感が良い。

 収録曲の中だと、1期生曲「どうする?どうする?」が好きです。声の個性がはっきりしているので、聴いていて楽しい。個人PVはまだ未視聴なので、あとでゆっくり観ます。
 

そのほか

漫画

・山田金鉄「あせとせっけん」[11/最終巻]
・和山やま「女の園の星」[2]

 いずれも5月の新刊。
 「あせとせっけん」は連載で既に読んでいたのですが、改めて読んでも96話のあの演出は胸いっぱいになりますね……。コミックスで描かれた「その後」のエピソードもとても良かった。
 「女の園の星」は小林先生のエピソード(9時間目)が好きでした。7時間目に出てくる若尾さんの真っ直ぐで不器用なところも素敵。
 
ゲーム 
 「ポケモンスナップ」、買いました。ドードリオの熱狂的ファンごっこがあまりにも楽しそうだったので……。悲しいかな画面酔いしやすい体質なので、適度に休憩しながら進めています。こっちむいて!!ドードリオ!!

 
====== 

 この2か月で感じたことは、「表現する・伝える」ことを仕事にしている人への憧れと尊敬でした。好きなことをするために好きでないことをしなければならない瞬間もあるでしょうし、全てが万人に受け入れてもらえるわけではないと思います。こちらからは想像できない大変さも色々あることでしょう。私はそういった困難を恐れてその道を将来の選択肢から外しましたし、普段通じ合うことに飢えているのもあって、やっぱり心のどこかには、その道で生きている人へのどうしようもない憧れがあるんですよね。最近、ようやくそれを自覚したというか。と同時に、その人たちが生み出すものに救われていることを思うと、やっぱり私にはできないな、と尊敬の念もますます強くなっている気がします。このどんどん大きくなっていく感情を上手く言葉にして誰かに伝えられたらいいのに、と思うこの頃です。こういうことを考えるのは嫌いではないんですが、伝えるとなると難しい!
 
  6月は新曲のリリースや楽しみなライブも沢山あるので、とてもわくわくしています。6/2に出たcinema staffの新譜がそれはそれはもう最高だった話も、改めてできたら。
 それでは!