陽炎と冬将軍

消えない光がある それだけあればいくよ

『愛は光』―「GR8EST」ツアーメイキングによせて

(※少しネタバレがあります)


 最近、よく聴く曲がある。Negiccoの「愛は光」。

 この曲は、Negiccoの結成15年目を記念してリリースされたベストアルバムの1曲目を飾る楽曲だ。KIRINJIの堀込高樹さんが作詞作曲を手掛け、これまでの感謝の想いと共に、未来へ向けての決意も込められている。3人の個性ある歌声で紡がれる歌詞の美しさは、言葉を失ってしまう程。柔らかく素朴ささえ感じるサウンドは、心地よい温もりがじんわりと沁みてきて、何度も繰り返し聴きたくなる。恥ずかしながらそれまでNegiccoの曲はあまり聴いたことが無かったのだけれど、去年偶然聴いて以来、すっかり心を奪われてしまった。

 この曲の、特に歌詞の素敵なところは、一行一行赤ペンを引っ張って書き込んでいきたいくらい沢山ある。一つだけ挙げるとすれば、サビのフレーズ。

ああ、わたしが月なら太陽はあなたよ
光は愛、愛は光ね
それこそが本当のことです

 アイドルは様々な「光」を見る。ファンが振るサイリウムの光、真っ暗な舞台袖で足元を照らしてくれるライトの光、ステージで浴びるスポットライトの光。月が太陽の光を反射して輝くのと同様に、アイドルもまたその「光」があるからこそ輝ける、というのは、究極的にロマンティックな表現だ。

 ああ、私だって太陽
 あなたを照らしたい
 授かった愛を輝きに変えよう
 惜しむことなく

そして、様々な光を受けて輝くアイドルもまた、誰かを照らす「太陽」なのだと思う。



 アイドルとファンを繋ぐものを「光」と呼ぶなら、2018年の私は、アイドルからの「光」をきちんと受け止めていたのだろうか。アイドルへ「光」を届けることは出来たのだろうか。
……「GR8EST」ツアーメイキングを観ながら、ふと、そんなことを考えた。

 このメイキングに記録されているのは、その日何をしていたか、どんな表情をしていたか、どんな声色だったか……そういったことが中心だ。メンバーは自分の気持ちをあまり多くは話さないけれど、その表情や声のひとつひとつが、痛いくらいの現実を赤裸々に語っている。中には受け止めきれないほどの事実も含まれていたけれど、ありのままを記録した1時間半の映像に、関ジャニ∞の不器用なまでの誠実さを感じた。 

 メイキングを観終わった今思うのは、「光」を作り出すことにも、「光」を届けることにも、そして、「光」を受け取ることにも、それ相応の覚悟とエネルギーがいるということだ。光を受け取ることも届けることも出来なかった去年の私は、そのエネルギーを早いうちに使い果たしていたのだな、と一人で納得してしまった。

 これは恥ずかしくて隠してきたのだけれど、私はずっと、自分には熱心さが欠けていると思っていた。特集記事に必ず目を通すとか、出演番組は録画してチェックするとか、そういったことを頑張ってみようと思っても、どうも続かない。元々飽きっぽい性格であるのは自覚していたけれど、周りの人と比べて自分には頑張りが足りないのだな、と感じられて、そんな自分が情けなかった。何より、好きで応援しているはずなのに「○○しなければいけない」と義務感を感じてしまう自分が一番いやだった。
 でも今は、「それは仕方のないことだ」と受け入れられそうな気がしている。エネルギーの容量も、使い方も、充填に必要な時間も、きっと人それぞれ違うのだ。比べても仕方がないものだと考えたら、少し気持ちが軽くなった。

 そしてもう一つ。アイドルを「光」で押しつぶすようなことだけは絶対にしたくない、と思う。私はどうしても頑固なところがあるから、「こうしてほしい」という譲れない理想があるし、何より関ジャニ∞には強くあってほしいと思っている。こんなわがままを言いたくなるのは多分、それを受け止めてくれると信じているからだろう。でも、アイドルにもきっと、エネルギーの許容量がある。眩しすぎる「光」は何も見えなくしてしまう。そのことだけは、きちんと心に留めておきたい。


 思えば、関ジャニ∞を好きになってから今日まで、私は沢山の「光」を貰ってきた。
 全てが輝いて見えるといったら少し大げさだけれど、素敵な音楽や、美味しそうな料理、ちょっとした英会話とか、そういった「今まで見えなかったものが見えるようになる」、そのための「光」をくれた。真っ暗で見えない将来に「まだまだ終わらない」と一つの道筋を作ってくれたのも、関ジャニ∞だった。
 その「光」から目を背けてしまうことだって少なからずあるし、その「光」はきっと永遠には続かない。そのことも分かったうえで。
 関ジャニ∞というアイドルこそが、私にとっての「太陽」なのだ。


 「愛は光」は、Negiccoという15年目のアイドルの決意表明で締めくくられる。
 不思議なことに、関ジャニ∞という15年目のアイドルの決意を見た私もまた、同じような気持ちだ。 私はきっと何万何千の中のたった一粒にしかなれないし、実際に届くかどうかなんて確かめようもない。けれども、この「光」だけは、絶やさず大切にする、そう心に決めている。

 ああ、わたしだって太陽
 あなたを照らしたい
 授かった愛を輝きに変えるよ
 燃え尽きるその時まで