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11月15日に発売された、関ジャニ∞のシングル「応答セヨ」。
通常盤には、丸山隆平さん主演映画「泥棒役者」の主題歌として書き下ろされた表題曲に加え、ハロウィンイベントのテーマソングに起用された「Sweet Parade」と、しっとりと大人の雰囲気漂う「Street Blues」の計3曲を収録。
それぞれの楽曲が持つ鮮やかな色が、冬の空に瞬く星のようにきらめく素敵なシングルです。
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通常盤
応答セヨ
聴いてからというもの、感想の一言目にどんな言葉を選ぶべきか暫く悩んでいたのですが、この際シンプルに言ってしまおうと思います。
最高や!
疾走感のあるバンドサウンドに乗って前向きなメッセージが響く、とても素敵な曲です。過去の自分へ呼び掛けながら今を認め未来へ進んでいく歌詞、真っ直ぐ届く素直で素敵なメロディ、バンドとストリングスのコンビネーションが光るサウンド、そしてメンバーの声……そのどれをとっても素晴らしい楽曲だと思います。「好き」というほかない。
色々と好きなところはあるのですが、特にイントロのギターから歌い出しにかけての展開が凄く良いなと思います。少し細かいリズムを感じるギターのフレーズから始まって、ダダッというキメ、その後にゆったりとした取り方でメロディが入ってくる……。その緩急が良くて、出だしからグッと心を掴まれるような感覚を覚えました。
また、全体的に各楽器がそれぞれいいお仕事をしている曲だなと感じます。個人的にはギターとベースの音が好きなのでついついそこにばかり耳が行くんですが、聴いていくうちにドラムやキーボード、パーカッションにもそれぞれ美味しいフレーズがあるのが分かります。結構曲を聴くだけでは気が付かないポイントもあって、歌番組の映像を観ながらそれを見つけるのも楽しいです。
加えて、所々で「流星」を思わせる音があるのが面白いなと思いました。ウィンドチャイムの軽やかでキラキラした音色はまさに星のきらめきのようで、Aメロやサビの入りに華を添えています。注目は2番Aメロで一瞬出てくる、切なげに風を切る音。恐らくサウンドホース(ハーモニックパイプ・メロディパイプ)*1の音だと思います。そのシューシューした響きだけを取るなら星が静かに夜空を滑っていくような情景も浮かぶし、歌詞に沿って考えるなら寝息にも聴こえてくる。こちらの想像を掻き立てる面白い音だなと思いました。
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ポルノグラフィティの新藤晴一さん作詞の歌詞もとても素敵です。
内容については、色々な方がおっしゃっているように「泥棒役者」を観てから気が付けること・紐解ける謎が隠されているであろうと推測しました。映画を見てからの解釈は映画の感想と一緒に書けたらと思うので、ここには今の段階で考えたことを書いておこうと思います。
歌詞全体を通して出てくる「僕」・「君」や「流星」という言葉については色々な解釈が出来るなと思いました。特に「流星」は、出てくる箇所によって、「過去の『僕』」だったり、「道しるべ」だったり、「なりたい自分の姿」だったりと色々な物の隠喩として使われているのかな、と。
色々考えてみたのですが、この歌詞を通して伝えたかったことは「『自分を信じること』の大切さ」なのではないかと感じました。「思い通りにいかないかもしれないけど今の自分もいいよ」「思い描いていた姿(=『流星』)どおりではないけど、着実に近づいているよ(=「僕は『スターライダー』)」と「過去の自分」に呼びかけることで、今の自分自身にも言い聞かせているし、今の自分自身を肯定している。だからこそ、曲を聴くことでまた前に踏み出す勇気を貰えるのかなと思います。
本当は全部載せてしまいたい気持ちもありますが、特に好きなフレーズを抜粋。
今だって 地上でもがいているんだよ 飽きもせず
星が浮かぶ「空」と対になる「地上」という言葉が出てくるのが良いなと思いました。また、「もがく」という動詞が、関ジャニ∞のこれまでの歩みと合っているように感じられるのも好きなポイントです。
猫のあくびが 途絶えた頃には 三日月のライトの 紐をそっと引っ張る
暗闇の中 聞こえる鼓動は モールス信号みたい 自分へのメッセージ
「猫のあくび」や「三日月のライト」というフレーズ、雰囲気があって好きです。
「猫のあくび」は、単に「あくび」からの連想なのか、それともその他の隠喩なのかが気になります。試しに猫があくびをする理由を調べてみたら、「眠い」だけが理由ではないみたいですね。ストレスを感じたとき、リラックス時、活動を活性化させる前の助走など色々あるようで、もしかしたらそのどれかを表しているとも考えられるのかな、と。
それだって空に近づいたと言い張っていいでしょ?
「いいでしょ?」という言い回しに含まれる独特のニュアンスが好きです。
また、どれだけ小さな歩みでも認めていいでしょ?というような意味も含まれているように感じて、そういう自分を肯定するような言葉になっているのが良いなと思いました。
さあ早く行かなくちゃ 約束という名の嘘になる前に
「約束という名の嘘」というフレーズが!好きです!確かに「約束」は果たせなかったら「嘘」になってしまうんですよね。そういった着眼点が良いな、と。
また、この「約束」は「過去の自分」としたものなんですよね。「約束」という言葉を聞くと、やっぱり他人としたものを思い浮かべることが多い気がするのですが、このフレーズを読んだ時に「ああ、確かに約束って自分とも出来るなあ」と。
「自分との約束」…なんだかロマンを感じませんか?
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こうやって書いてみると、受け手によって色々な解釈が出来るという点も音楽の楽しい所だなと改めて思いました。やっぱり、想像を掻き立てる余白や仕掛けがある歌詞は本当に良いですよね。私も大好きです。
勿論、メンバーの歌も凄くいいんですよね。特に渋谷さん。
ただ、それを含めて書くと大変な量になってしまうので(笑)、そのことについてはまたの機会に。
Sweet Parade
キラキラと華やかな音の中にハロウィン独特の不気味さのエッセンスが効いたサウンドと、「明日も一緒に頑張ろう」とそっと励ましをくれる歌詞。週末に「1週間頑張ったご褒美」として買ったいつもより少しお高めのスイーツ、そんな感じの曲です。
全体的に歌声が楽しそうな感じが好きです。「応答セヨ」とはまた違った表情の声。
特に落ちサビのソロパートが良いなと思いました。丸山さんのお茶目で甘い歌声がやっぱり好きです。安田さんが「少し甘酸っぱいレモンのタルト」と歌うと味まで想像できるのが不思議だなと思いました。美味しそう。錦戸さんの「シュークリーム」は、「ム」の口が横に開いているのか笑いを耐え切れていないようにも聴こえて、「ついつい笑顔になる楽しさ」が伝わってくるのが良いなと思いました。
Street Blues
キーボードを中心にギターやブラス・フルートの音が効いたミディアムテンポのジャズに合わせ、ゆっくりと時間が進む大人の恋を歌った楽曲。少しお酒の香りもして、とても雰囲気のある曲です。
…とここまで頑張って冷静に書いてみたんですけど、この曲とんでもないですよね???関ジャニ∞とジャズの組み合わせってとんでもない力を持ってますよね?いやあこれは凄い曲だ……。
あまり詳しくないので専門的な話は出来ないのですが、ジャズやブルースの特徴的なリズムと独特の雰囲気、それと関ジャニ∞の歌の相性が凄くいいなと感じました。
個人的に「~元気が出るCD!!」版の「渇いた花」も好きで、「こういう雰囲気で7人の曲もあればなあ」と思っていたので嬉しいです。
サビの歌詞、始めは歌詞カードを見ずに聴いていたので「不思議な言い回しだなあ」と思っていたのですが、歌詞を読んでびっくりしました。
「俺の好きにさせて」だったら、自分の気持ちだけが満たされれば相手がどう思っていようと構わないわけですけど、「俺だけを好きさせてもいいよね?」だと相手からの好意まで要求してるということになる訳で、「思ったより数倍強引だな!」と。一瞬「男前じゃないと歌えない歌詞だ…」とかちらっと思ってしまいましたすみません。関ジャニ∞が男前で良かった(?)
サビだけではなくて全体的に雰囲気のある言い回しですよね。「胸元も緩くなる」など。「少しだけ時間(トキ)をくれないか?」の後にすぐ「時計を外した」と続くところに「今夜は絶対帰したくない」という気持ちが表現されているのが良いなと思いました。
こういった曲の雰囲気を出すのは結構難しいのではないかと思うので、それを息遣いだったり声だったりで表現しているところがやっぱり流石です。ソロも良いですし、サビのコーラスワークもとても素敵。個人的に一番好きなのは村上さんのソロですね。ヒリッとした響きが良いです。あとはやっぱり、出だしと最後の安田さんの色気は半端じゃないですし、横山さんの「飲み干しちゃえばいい」の歌い方も良いなと思いました。
そういえば、大倉さんのソロに「ラ行」が多く出てくるのは偶然ですかね?大倉さんは発音が甘いのか舌の動き方の癖なのか「ラ行」が独特の響き方をするので、もしそのルーズさを敢えて狙ったのだとしたらプロのお仕事って本当に凄いな…と。
初回盤
「パノラマ」"関ジャニ'sエイターテインメント"Remix
「関ジャニ's エイターテインメント」(BD)のエンドロールとして使用されたリミックス版。2番のゲーム音楽風のアレンジとグーパンチの効果音が面白いです。
「応答セヨ」 Music Clip
素人の私が作るとしたらやっぱり星空を多く使っていたと思うのですが、このMVは敢えて最後にしか「星」が出て来ないんですよね。出てくる「流星」も一つ。その演出が良いなと思いました。
あとは演奏シーンでえげつない手の動きをこなしながら歌う村上さんが凄いなと思いました。技術の向上がはっきりわかる……!
「応答セヨ」Making
子役のりゅうせいくんがとても可愛い…。丸山さんのソロカットを撮っているときのモニターを観る真っ直ぐなまなざしが印象的でした。
グリーンバックに深緑のギターが透けないか心配する錦戸さんとスタッフさんのやりとりが面白かったですw
後はバンドシーンの撮影でモニターチェックをする皆さんの表情が真剣そのもので、「仕事人の目だ…」と思ってたら、オチつきだったのは思わず笑ってしまいましたwあの安田さんはずるいw
エイト限定盤*2
「Sweet Parade」 Music Clip
おじいちゃんが魔法で若返ります。中年のイケオジ感も見所。
「Sweet Parade」Making
おじいちゃんになった渋谷さんと丸山さんがずっとコントをしているのがらしいなと思いました(笑)「めざましテレビ」で流れた映像でもずっとコントしてましたねw
おじいちゃんのシーンは早いテンポで撮ってから戻してるんですね!初めて知りました。独特のスロー感が出るんですかね?横山さんがシロフォンと格闘している姿が印象的。
ちらっと出てくる村上さんの読書シーン、本の分厚さにビビりました…専門書レベルの厚さだ……。
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2017年は、関ジャニ∞の「音楽」にとって大きなターニングポイントとなる一年だったのではないでしょうか。その締めくくりとしてこの曲がリリースされたというのは、本当に嬉しい出来事だと思います。「関ジャニ∞のシングル」としては、ここから「LIFE」のようにバンドを代表する曲になったらいいなと期待しています。
と同時に、この曲には「映画の主題歌」としての役割もあるんですよね。色々な楽しみ方が出来るのも嬉しいですし、映画の世界観と合わさった時にどう聴こえるのか、それを映画館で確かめる時がとても楽しみです。
最後になりましたが、丸山さん初主演映画「泥棒役者」公開おめでとうございます。
この曲と共に、長い間沢山の人に愛される作品になりますように。